1【導入】
精神障害者に対する総合的な支援をするために「BPSモデル」という考え方があります。
「BPS」とはバイオ、サイコ、ソーシャルのことで、障害者が抱える問題に対して複合的・多面的に捉えてアプローチ方法を検討していくという考え方です。
私たちは誰しも生存している限り、様々な要因や関係性によって課題に直面することがあり、これは障害の有無に関係なく、誰にでも起こり得ることです。
bio(生物)-psycho(心理)-social(社会) model
生物―心理―社会モデル (読み上げに合わせて文字表記)
この動画では、BPSモデルをベースにした総合的な支援方法を実際の支援現場で活用した事例を通して学びます。
2【BPSモデルの専門職】
まず、BPSモデルには大きな役割を持つ専門職が必要であり
病気に罹患した方に対する支援を考える場合、様々な症状に対する医学的な治療が必要です。
ここでの専門職は医師や看護師、理学療法士・作業療法士、薬剤師などになります。
病気に対する正確な知識を得て、これ以上病気を悪化させることなく、またリハビリテーションを行いながら回復へと取り組み、患者がどのような生活を送りたいのかまで含めての治療になります。
そのような取り組みに対応するためには、心理的な支援も必要になります。
なぜ、このような治療が行われるのか・・、どのような効果を期待できるものなのか・・など、
病状を踏まえ、それに伴う不安やストレス、感情の揺れなどをサポートし
リカバリー志向に基づく働きかけを行う精神科医や、心理士などがそれにあたります。
さらに、患者が地域生活を送る上で、必要な支援を受けるソーシャルサポート、いわゆる福祉的サービスも必要になります。
家族や友人、必要な支援が受けられる公的な機関など、患者が日常生活を送る上で必要となる支援全般に関わる人がソーシャルサポーターとなります。
支援者は、支援が必要な方に対し、その方が持つ「困った」を一面的ではなく、
複合的・多面的に捉えてアプローチ方法を検討し、様々な専門職やソーシャルサポーターと協働し総合的に支援することが求められます。
3【BPSモデル事例】
精神障害者の事例を見ていきましょう。
統合失調症の女性、30代。家族関係は良好とはいえない生育歴があります。
高齢の母との関係は特に悪く、統合失調症の陽性症状が強く表れた時には母親への暴力に至り、その度に入退院を繰り返しています。元々、美容師であったことで、仕事に対するプライドを高くもっていた人であり、病的な状態であるとの自覚が低く、「私はどうして薬を飲まないとならないのかわからない。こんなに元気だし、早く仕事をみつけたい」と就労への希望も話します。
この事例における支援をBPSモデルで展開例を考えてみます。
まず、バイオ『B(bio)』(文字表記)でみると、統合失調症の陽性症状が頻回に表れ、母親への暴力があることで入退院を繰り返している、という視点があります。
つぎにサイコ『P(psycho)』(文字表記)でみると、「私はどうして薬を飲まないとならないのかわからない」と主張していることから、統合失調症と診断されている自分をどのように理解しているのかアセスメントする必要があります。
そこには、診断を受け入れられないのか・・、診断内容の理解はあるが受け入れていないのか・・、受け入れているものの服薬のメリットを感じていないことで拒否しているのか・・など様々な理由が考えられます。
ここがアセスメントの要であり、いかに心理教育が行われるかが重要なポイントです。
また、この心理教育による理解のあり様(読み方:ありよう)が、
ソーシャル『S(social)』(文字表記)・地域での生活の支え方へとつながります。服薬を拒む方に対する支援をどう考えていくのか、また、服薬へ前向きな姿勢を示し、継続するための支援を考えていくことになります。
4【別の角度でBPSの組立て】
さらに別の角度でアセスメントを組立てることも考えられます。
本人には「働きたい」という希望があります。
美容師として就労先をみつけられれば、お客様の髪を整えるためイライラしないよう服薬する必要がある・・
というように、就労への準備に期待することで、本人の今のあり様を変化させることも可能かもしれません。
そして、もしそのような行動がみられた時には、出来ていることを肯定し、努力が必要な場面にアプローチすることも可能となるでしょう。
これを支援方針の組立て方としてみると
バイオ、サイコ、ソーシャルというアセスメントの組立てでなく、
- 『B(bio)』➡②『P(psycho)』➡③『S(social)』(文字表記)
ソーシャル、サイコ、バイオとなり
③『S(social)』➡②『P(psycho)』➡①『B(bio)』(文字表記)
まず社会との関わりから介入し、心理的支援、そして病気や障害にアプローチする支援方法になります。
つまり、目標を拠り所と据えて、「そのために必要なことは何か」という介入方法であり
確立された個人生活を支える支援方法の一つとして求められるでしょう。
5【BPSモデルの重要な視点】
病気や障害があっても活躍できるよう、本人を多面的にアセスメントすることが重要です。
リカバリーとは、“元に戻ること”だけではなく、様々な経験を経て、“前向きな志向をもてるようになること”です。
支援者は、画一的な支援ではなく、BPSモデルを柔軟に活用し、課題を抱えた方と共に豊かな視点を持つことが求められます。
支援者として見ている課題は、ほんの表面的なものでしかありません。
生物―心理―社会というように捉え直すことで、これまで気づかなかったアセスメントが可能になります。
6【まとめ】
【本動画で学んだこと】(表示のみ)
まとめです。
精神障害者に対する総合的な支援をするために「BPSモデル」があり
障害者が抱える問題に対して複合的・多面的に捉えてアプローチ方法を検討するという考え方です。
BPSモデルには医学的な治療、心理的な支援、日常生活での支援などに大きな役割を持つ専門職が必要です。
・精神障害者への総合的な支援をするために「BPSモデル」がある
・障害者に対して複合的・多面的に捉えたプローチ方法を検討する
・医学的な治療、心理的な支援、日常生活での支援のための専門職が必要
【支援者として意識すること】(表示のみ)
支援者は、BPSモデルを柔軟に活用し、課題を抱えた方と共に豊かな視点を持つことが重要であり、生物―心理―社会と捉え直すことで、新しいアセスメントが可能になります。
・BPSモデルを柔軟に活用する
・課題を抱えた方と共に豊かな視点を持つことが重要
・生物、心理、社会と捉えれば新しいアセスメントが可能になる

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